WEAR sleeve ができるまで(後編)

 

 

 ←WEAR sleeve ができるまで(前編)

 

プラカップなどを首から下げて持ち運びのできる WEAR sleeve ができるまでの後編です。前編20203月ごろに構想をはじめてから、同年9月に形の変更を余儀なくされたところまでを書きました。

 

ここからが大変だったと書いたのですが、サイズを変更できる仕様にすることはそれほど難しいことではなく、形もすんなり決まりました。

 (上が通常のスリーブ、下がトレースしてできたパターンの原型)

 

 マジックテープでサイズ調節をするのはよいとして、使用時に硬い方のテープが洋服にくっついてスリーブが外れてしまう(伝わりますかね?絶対起きると思うんですよ…)、というのが恐怖なので、ベルトをつけることに。

 

 バックルが小さくてすごーく着脱がしにくいのですが、それが逆に外れにくい、ということでこちらを採用してます。

とにかく、こぼれにくいということが最優先です。

 

 

そう、サイズより何より問題なのは、どうしたってこぼれるのでは。ということです。これはもう最初からわかっていたことで、できる限りこぼれないようにどうするか、ということが最大の難関で、ここから2つ解決しなくてはいけない問題がありました。

 

 ひとつめ、フタがとにかく必須だろうということで、フタ探しの旅がはじまります。これにおそろしく長い時間を費やすこととなったのです。

 

海外サイトからAmazon100均に至るまで、何時間も何日も探し続け、これだ!と思ったものが届いたら、全然ダメ。という失望の繰り返し。サイズも形も多岐にわたり、迷走を極めます。

 

子供のコップ用のシリコンのフタ、マグカップ用のフタ、繰り返し使えるラップみたいなもの、タピオカ用のカップのフタ、クッカーのフタ、100均のガラス容器に付属してるものからタッパーのフタまで(すでに捨てたものもあるので、これは一部)。

 

上に載せるだけのフタも検討していたので、ゴムで押さえる、という仕様はこの頃にできています。

 

そんなこんなでフタを探し続けてほとんどフタノイローゼになっていたところ、やっとのことで決まったのが2021年の年末。1年以上かかったことに…。

 

決まってしまえばよく見るフタですが、まわりのフチ部分があるので少し大きめのカップでもひっかかり、シリコンリングを外すことで少し小さめのカップにも使える。そしてフタを外さずに飲めるという優れもの(全てのカップに適応できるわけではありません)。

 

(シリコンリングはロットによって、半透明か黒のどちらかとなっています)

あと、飲み口のところが斜めになっていて、飲み物が溜まることでプラカップでそのまま飲んでるかのようなごくごくした飲み心地になるところも気に入っている点です。

 

 

 こうしてフタ地獄から解放されたものの、もう1点、最初からなんとなく目を背けていた問題としてつきまとっていたことがあります。

 

動いたり飲み物が少なくなってきたりするとカップが横に倒れるのです...。

 

(こうなる…)

 

2022年3月、Drifter’s stand にて TAKE OUT シリーズの受注会 POP UP を控えていて、そこで先行発売できなかったらもういい加減に諦めようと内心思っていたので、もうこのくらいいいじゃん!と正直思ったりもしたのですが、問題のある状態では発売できない、という至極全うな話し合いがなされ、試行錯誤が続きます。

 

結果、なんとか安定させることができてOKが出たのがPOP UPの前日。かなりの少量でしたがなんとか先行販売をすることができたのでした。

 

(色々試しすぎて破れたサンプル。補修のやり方がその時の心情を表してますね)

 

ここから少し改良を加え、55日、ついにオンラインショップにて販売開始できたのでした。よかった

 

 

紙のスリーブをイメージしてPマーク(ポンサ初期に Tyvek Paper Bag 用に作ったエコスタンプ。とても気にいっている)を押した Tyvek ブラウンポンサの定番 Tyvek シルバーに加えて、DCF ホワイトの3色展開。

 

 

 DCFは本来のスリーブとしての機能(熱いものを持つ時に熱くない)はもちろんゼロなのですが、どうしても作りたくて自己満足的に加えました。

クラフトビールっていろんな色があるから、その色もなんとなく透けて見えたらいいよなぁ。ビアフェスとかお店のカップにイラストとか描いてるものもあるから、それも透けて楽しめたらいいよなぁ(と思いません?)。

 

 

(発売翌日の茅ヶ崎ハイカーズミーティングでカップのシールがちゃんと透けているところ!うれしい)

 

何回も書きますが、できるだけこぼれないように使用してほしく、付け方の説明書をつけたパッケージにしました。

 

 (銀袋はぜひ持ち運びとかゴミ袋とかに再利用してくださいね)

 

こんな感じでリリースまでにかなりの時間がかかってしまったのですが、その分愛着のあるアイテムとなりました。日々のお散歩や、フェス、イベントなどで活躍させていただけるとうれしいです。

またね。

 

izumi